永遠の片思い

養母が亡くなったという知らせを受け、ケイトは葬儀に参列するために青春時代を過ごしたワイト島に戻ってきた。
六年ぶりに再会したかつての片思いの相手ギデオンは以前と変わらず魅力的で、傷心の彼女をやさしく慰めてくれた。
だがギデオンにキスをされたとき、ケイトは現実に立ち返る。
この島を離れた理由を忘れたの?ここにはわたしの居場所はない。
わたしは決して家庭を持てない身なのだから……。
粉雪舞う夜のロンドン、イーストエンド。
人通りの絶えた道を急いでいたザンは、ふいに男たちに囲まれた。
安全のために変装していても無駄だったらしい。
習い覚えた護身術でなんとか撃退したと思った矢先、一人に組み敷かれてしまう。
男性は見たこともないような美貌の持ち主だった。
そして、襲ってきた男たちを一緒に追い払ってくれた人のはず。
なのに、どうして私は通りに押し倒されてるの?ほっとしながらも疑問に思った瞬間、ザンは唇を奪われていた。
ナターシャはこれまで仕事一筋に生きてきた。
大の親友が結婚することになり、花嫁付添人を頼まれた。
花婿付添人との顔合わせも兼ねた婚約披露パーティに招かれ、会場に入ろうとしたところを、一人の男に呼びとめられる。
彼に不審者のように扱われて、ナターシャはかんかんになった。
なんて尊大な態度なの。
王子かなにかのつもり?目の前の失礼きわまりない男が花婿付添人だとは、このときのナターシャは知るはずもなかった。
まして、彼がまさしく本物の王子だとは。
図書館司書のグウェンは今日、誕生日を迎えて愕然とした。
これまでの人生に欠けているもの……それは男性経験だ。
彼女はセクシーな姿に変身し、地元で人気のナイトクラブに出かけた。
だが彼女が夜遊びに不慣れなことを一目で見抜いた男性がいた。
クラブのオーナー、イーサンだ。
彼はグウェンに近づく怪しげな輩を追い払い、家まで送ろうとした。
しかし、彼女はこのまま帰りたくはなかった。
どこに行きたいのかというイーサンの質問に、彼女は思いきって答えた。
「あなたの家よ」若き経営者にしてシカゴ財界の有力者ディーン・ローガン。
それが、秘書ジョディが五年もの間仕えてきた人物だ。
仕事中の彼は厳格で笑顔ひとつ見せたことがない。
そのくせ、私生活では群がる美女たちと短い交際を繰り返し、しばしばジョディに後始末を押しつけている。
ところが、そんな彼に異変が起きた。
目下の恋人にふられたのだ。
呆然とする上司を見かねてバカンスをとるよう勧めたところ、ディーンは急に目を輝かせ、彼女にハワイへの同行を命じた。
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